中絶と妊娠期間の関係

現代日本において単に「中絶」と言った場合は、「人工妊娠中絶手術」のことを指している場合がほとんどです。中絶を巡る状況は、倫理的・社会的なものから、当事者のすぐ身の回りのことに至るまで様々な問題をはらんでいますが、まずそのはじめに母胎へ及ぼす肉体的な危険について理解しておく必要があるでしょう。中絶について規定している母体保護法によれば、妊娠21週6日まで中絶手術が可能である、とされています。しかし、手術する時期が遅くなるにつれ、体への負担は増大してゆきます。妊娠初期の5〜11週であれば、15〜20分ほどで処置が終了しますが、妊娠12週からは、薬などで陣痛を促進した上で出産と同じようにして中絶をするため、時間も掛かりますし術中および術後の危険も大きなものになります。どうしても中絶手術を受けなくてはならない場合は、妊娠6週から7週までのあいだ、生理が遅れて2週間くらいの時期が最も適当であると考えられています。

未成年の中絶に際した法律上の問題

母体保護法によれば、人工妊娠中絶を受ける場合には本人と配偶者の同意が必要であると説明されてあります。この規定に、その両者が成人であるかどうか、という説明は添えられていません。未成年者の同意が、法律上の同意と認められるかどうかは、はっきり明言されていないのです。このような事情も影響して、未成年者でも当人の意志のみで中絶手術を受けることが可能かどうか、それぞれの医療機関によって判断が異なる場合があります。未成年が当事者である場合、「親にばれたくない」などの理由で中絶手術を依頼してきたケースでは、病院側が自主的判断によって、保護者の同意のない手術を拒否するということも実際に多くあるようです。術後の母胎の安全を考えると、数日の安静が絶対に必要ですので、周囲に中絶手術の事実を隠したままでは、術後の安全が保てない、との判断によるものです。未成年者に限ったことではありませんが、当事者の心身両面のケアをどのように考えるか、この問題が中絶を巡る論議のうちでまず第一に優先されるべきことなのでしょう。

中絶手術の実際

妊娠中絶手術は、当の女性だけの問題ではありません。しかし、当事者が事を明るみに出さないままに済ませたい、と希望するケースが多いために、中絶手術の実際の内情や環境などは、無関心と言ってもよいような状態で、わたしたちの知識の外に放置されています。「自分は当事者ではないから」と思わずに、関心を向けてその具体的・実際的な知識について知っておきましょう。中絶手術には保険が効きません。手術にかかる費用は、初期妊娠でだいたい10万円くらいですが、妊娠12週からは20万円前後まで費用が跳ね上がり、また死亡届の提出や火葬の義務も発生します。一口に中絶とまとめられないほど、そこには様々なケースがあり様々な経緯を含むものですが、当の女性の心身ばかりではなくそれを取り巻く周囲の人々へも大きな負担をを強いる行為であることは共通しています。意に染まない妊娠を避けるための避妊は、それを十分に注意して正しい方法で行う必要があるのです。

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